清流の若葉に、

木漏れ日がゆらめく季節。

友人とカフェで会った。

十数分後、

友人は腕をさすりながら、立ち上がった。

聞くと、

「セーターを取りに」

自然の色は瞬時も止まることなく、

刻々と移ろう。

お日様、花鳥風月すべてが輪になって、

体感温度を外気に合わせ、調律する。

都市化が進み、

人々の暮らしは自然から離れ、

どんどん人工空間に追い込まれていく。

その中のオアシス、カフェ。

それすらも自然から見れば、

ちょっぴり肌に合わない空間となる。

どうするか。

では、いっそのこと、

自分たちで自然カフェを創ろうか。

薬草狩で見つけた渓流や滝。

名付けて、「渓流喫茶」。

メニューは野草酢風各エキス。

梅・山桃・スモモ・イヌビワ・野ぶどう・木イチゴ・アケビなど、

季節の幸が色鮮やかに溶け込む各エキス。

そのバリエーションを、

渓流の音とともに楽しむのだ。

時間があれば、

渓流でといだオコメを飯盒で焚き、

ほかほかのおにぎりもいい。

そのおにぎりに、

薬草一葉を添えて、

山神様に捧げ、共にいただく。

やがて妖精たちがあらわれ、

天の鈿女（うずめ）と

渓流に舞う。

篠笛が樹幹に流れる。

神代と古代と現在がシンクロする、

渓流喫茶。

ゆく川の流れは絶えずして

しかももとの水にあらず

友よ、

そこから、見つめようよ。

よどみに浮かぶ、

コロナ禍のうたかたを。