朝露が光る早暁、

畑に入りました。

一面、草の海・・・。

この草の波間に息をひそめて、

たくましく成長しているいのちがあります。

女性ホルモンをたっぷり含み、

野草酢には欠かせない薬草、トウキ。

自然採取ができないため、

自然の中に放って、

自ら育っていく栽培法をとりました。

生命力なきトウキは雑草に侵され、死の道へ。

生命力強いトウキは雑草と競いつ、生の道へ。

植えてより半年、

今日は、草開きの日。

覆い隠す雑草を一本一本、根こそぎ抜いていきます。

（おう、生きてる・・・）

抜かれる雑草の波から、

次々に浮き上がるトウキ。

一列、全滅

ニ列、残草４

三列　残草６

四列、残草５

成長には個体差はあっても、

根をしっかりと張っています。

雑草に幾重にも侵され、

豪雨に土をえぐられ、

いじわるカラスに怯えた日々―。

でも、

トウキには意地も誇りもありました。

奥山の断崖に生を受け、

“神草”と呼ばれた先祖の誇りー。

「逆境を楽しみ、

　試練に耐えて生き伸びよ。

　伸びるとは、上にあらず、下だ。

　まず根を張れ。

　根を張り、茎を太くし、

　養分を根にまわせ。

　そして、じ～と耐え忍ぶのだ。

　この忍こそ、

　われらトウキの生命力(Resilience)となり、

　いのちの砦となるのだ。」　

春、

ほかの薬草たちとともに、

トウキの一陣が旅立ちます。

黒糖発酵の露天壺へ。