「イノシシが出たど！」

オサム爺さんが飛んできた。

薬草あふれる草地、

そろそろ刈る時が来たようだ。

この草地、

ウサギや野鳥には楽園だが、

獣道を張り巡らす猪には、

田んぼを侵す前線基地となる。

けもの道、ロックダウン！

数日前、

闘いが始まった。

草の海、

どんどん更地になり、

イノシシの牙城は消えていく。

夕暮れ、

薙ぎ払った草陰に、何かが。

（これは鳥の巣・・・）

見ると、卵が五個。

（ごめん・・・）

愛の巣を丸裸にしてしまったことを詫びた。

この試練、

さあ、どうする、

名無し小鳥よ。

夜盗雑食のムジナ

卵大好きなヘビ

ヤンキ―カラスの速攻

野生の掟に対話なし、

いのちは一瞬に淘汰される。

巣ごと捨てて、去るか。

それとも、

場所を変え、

新たに巣を営むか。

朝、

巣を見に行った。

卵はなく、

巣だけがあった。

野鳥がここに営巣する理由。

それは、

薬草が豊富だからです。

ウサギがセンブリを食べ、

イノシシが葛や山芋の根を掘るように、

野鳥も薬草を食べて生きています。

野生のいのちは、

治癒のちから。

野草酢もそのちからを、

野草・薬草からもらっています。